万華鏡


駅の改札を抜けると彼女とは反対方向で、そこで別れた。

ホームに立ってリョウ君にメールを打った。

送信すると同時に、「谷原さん。」と呼ばれ、振り向くと関口君が立っていた。

「今日も残業?」

「うん。でも明日には終われそうだから、後一日頑張るわ。」

「随分データ消えたんだね。二人でやってまだ終わらないなんて。何日分?」

「二週間分ぐらい。」

「そんなに?明日手伝おうか?」

「ううん、大丈夫。宮下さんにもやり直しがいかに大変か分かって欲しいし。」

関口君と他愛もない話をしているうちに、降りる駅に到着した。

改札のところで、

「関口君、悪いけど今日はここで…。」

「方向一緒だし、遠慮しなくていいよ。」

「あ…うん。人と待ち合わせしてるの。」

「そっか。それじゃまた明日。」

軽く手を挙げて別れると、その様子を見ていたらしいリョウ君が近付いて来た。




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