失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
颯太に断って、あたしは大翔に付いていった。
大翔が止まったのは外の花壇についてからだった。
「どうしたの?」
あたしに背を向けたまましばらく何も話さないからあたしが話し掛けてやった。
「お前に聞きたいことあってな……」
「?」
大翔らしくない。
なかなか本題に入らなかった。
「聞いていいもんなのか迷ったんだけどな」
「なんなの?さっさと言えや」
大翔がいつもと違うから、たしがなんか不自然なっちまったよ。
「あの日、お前と別れた後、金井武ってやつが俺に話し掛けてきたんだよ」
ドクン
心臓が音を一際大きく脈打った。
「特になんか言われたわけじゃねぇけど、あいつ、俺が嫌いみたいだな」
「はぁ?」
そんなこと知ったこっちゃない。
「あたしにそれをなぜ報告した?」
「特に意味はない」
「だったらあんな深刻に言うな!」
まじでびびったし。
いや、まじで。
「まぁとにかく、あいつは俺たちの事を知ってるよってことを知っといてくれ」
それだけ言って、大翔は音楽室に戻ってしまった。