失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



「……聞きたいことじゃないじゃん」


そんなどうでもいいことに突っ込んだ後、あたしも音楽室に戻った。



「俺に話は無いのか?」


陽が音楽室に入ったとたんそんなことを言った。


――さみしがりやさんか!


「無いね」


「ズゥーン」


陽が効果音つきで落ち込んでしまった。


最近このひとめんどくさくなってきたよ。


「明日からしばらくはあたしいないけど、寂しいからって泣くなよ!」


「泣かねぇよ。冗談は家柄だけにしとけ」


大雅……くたばろうか。


「俺は泣く」


いや、泣くなよ。
颯太が自信満々に言うもんだから、あたしは言葉につまる。


「泣くとか……あほくさ」


こいつは可愛げがたりない。大翔と大雅と一緒にくたばってしまえ!


「俺は……とりあえずシュークリームを食べる」


その報告はいらないよ。
どこかズレている陽の発言に、あたしたちは和むのだ。


「んじゃ、バイバイ」


あたしは笑顔で、誰にも何も感付かせないように、素早く、音楽室から去っていった。







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