失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
あたしの返事を待つ様子もなく、佐伯さんは話しはじめた。
「亜美さん、私の知っている亜美さんは……馬鹿で、あほで、声がでかくて、可愛げがなくて……」
「ちょっと待てー」
ドォーンと大きな音を立てて、あたしは部屋のドアをあけた。
佐伯さんがあまりにもあたしを貶すから、ついつい力が入っちゃった。
文句の1つでも言ってやろうかと思っていたのに、あたしの部屋の前でうずくまる佐伯さんを見てただごとではないことにきがついた。
「どうしたの?おでこなんか押さえて」
「いえ、お気になさらずに。決して亜美さんがあけたドアに頭をぶつけた訳ではないですし」
「すいません」
即効謝りました。
「いえ、お気になさらずに。決してくたばれなんて思ってませんから」
「誠に申し訳ない」
この人はあたしで遊んでるだろ。
「そうやって、子供らしく、悩むこともおありなんですね」
「まぁ、子供だからね」
高校生なんてまだ子供だ。
「ならば、亜美さんはもっと子供らしく、分からないことは聞けばいいじゃないですか。誰にでも聞けばいいってもんでもないですけどね」