失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



そして、佐伯さんは普段見せないような、優しい笑顔を見せて、


「亜美さんは頭だけはいいんですから、解決策はすでに心の中にあると思いますよ。頭だけはいいんですから」


「なんで2回言った?しかも“頭だけ”のとこ強調しやがって」


だんだんムカついてきたんだが。


「……そちらの方が亜美さんらしいです。私は元気のない亜美さんは嫌いです。大っ嫌いです」


「悲しい……」


嫌いすぎだろ。オブラートに包むって事を知らない人だ。


「私は亜美さんに最近できたお友達も、見た目だけ見れば会うことに反対したいですが、まぁ亜美さんを元気にしていただけるのらありがたいですね」


そんな風に考えていたなんて知らなかった。


「……亜美さん、最近太られましたか?」


「え?嘘!」


絶対に陽だ。
あいつがあたしにシュークリームなんか毎回渡すから。


「最悪だ……」


「まあそう落ち込まないでください。亜美さんは痩せすぎです。それくらいの方が健康的です」


「そう?」


「お世辞です」


「てめぇ……」


そして、あっはっはと笑いながら佐伯さんは去っていった。




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