失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
そして口に広がる紅茶のかおりと、ミルクの味。
それがあたしから緊張感を奪っていく。
「……回りくどいのはお互い嫌いだから、単刀直入に言うよ」
あたしをよくわかってる。さすが幼なじみ。
「俺は、亜美が……まぁ俺もだけど、高校3年になったら正式に俺らのことを発表したいと考える」
せっかくミルクティでやわらいだ緊張感が倍になって戻ってきた。
「……い、きなりだね」
ついついどもる。
「それほどでもないよ。っていうか、亜美も予想の範囲内でしょ?」
「……、」
言い返せない。
あたしは心のどこかでこの事を予想していた。
だから、あんまり驚いていない自分がいる。
「それで、高校を卒業したら、籍を入れたい」
現実的な話に、亜美は必死についていこうとする。
「俺は何も言わないよ。亜美の行動には。でも、発表したあとは言わせてもらうから」
冷たく、暗いその声に背筋がゾワッと音を立てた気がした。
「俺から亜美に話したいことはこれだけだよ」
そう言った後、一口、コーヒーを飲んだ。昔からコーヒーが好きで昔から子供っぽさがなかった。