失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



瑠伊、深瀬隆、金井武、そして佐伯。


この記憶を亜美が知ったら傷つく。


ならば、亜美が傷つかない道を選ぶ。


それが俺たちの総意だ。


「亜美はきっと思い出すのを無意識に拒否してる。もし、俺の話を亜美にしたら、俺はお前たちを殺してしまうかもしれない」


冗談とかじゃなく、結構本気だ。


「……知りたい。俺たちがそれを知ることで亜美をそれから守れるなら」


それを聞いた瑠伊はため息をこぼした。


――娘を嫁に出すような気分だ


娘なんていないし、相応しい言葉だとは想わないけど、そんな感じ。


「絶対に、聞いたことは亜美に言うな。それが条件だ」


亜美が傷つくところなんかみたくない。



あの時みたいに、何もその瞳に映さず、ただ空気を見つめるように日々を過ごす。


涙を流していないのに、号泣しているようなあの顔。


もう見たくないし、させたくもない。



自分の片割れが、あんなにも無気力になったのを俺はどうしようもなく見ている。あんな思いはもうごめんだ。


「一言一句聞き逃すなよ」


そんな前置きから始まった。


――――――――交わりと……

< 247 / 509 >

この作品をシェア

pagetop