失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
瑠伊、深瀬隆、金井武、そして佐伯。
この記憶を亜美が知ったら傷つく。
ならば、亜美が傷つかない道を選ぶ。
それが俺たちの総意だ。
「亜美はきっと思い出すのを無意識に拒否してる。もし、俺の話を亜美にしたら、俺はお前たちを殺してしまうかもしれない」
冗談とかじゃなく、結構本気だ。
「……知りたい。俺たちがそれを知ることで亜美をそれから守れるなら」
それを聞いた瑠伊はため息をこぼした。
――娘を嫁に出すような気分だ
娘なんていないし、相応しい言葉だとは想わないけど、そんな感じ。
「絶対に、聞いたことは亜美に言うな。それが条件だ」
亜美が傷つくところなんかみたくない。
あの時みたいに、何もその瞳に映さず、ただ空気を見つめるように日々を過ごす。
涙を流していないのに、号泣しているようなあの顔。
もう見たくないし、させたくもない。
自分の片割れが、あんなにも無気力になったのを俺はどうしようもなく見ている。あんな思いはもうごめんだ。
「一言一句聞き逃すなよ」
そんな前置きから始まった。
――――――――交わりと……