失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
甘えたくはなかった。
あと少しでもここにいればあたしは甘えちゃう。陽達に。
自分から行くって決めたはずなのに、あたしの決意が揺らぐ。
「……」
あたしは無言で音楽室を出た。
――大丈夫
化粧はばっちり、髪まばっちり。
あたしはどこからどうみても深瀬亜美。
たまに不安になる。
どこかにあながあって、本当のあたしがバレたらどうしよう……って。
だから、呪文で言い聞かせるんだ。
“完璧”だ、って。