失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
大翔は不思議な顔で首を傾げた。
くそっ、女のあたしより似合う。
「あのお兄さんが、陽たちと絡むことを快く思ってないことも、武の家でパーティーやったときに、武と仲良くなっておけ、とか言われたことも、全部……じゃないけど、知ってる」
大翔は驚いた顔をしている。
何で知ってるんだって顔。
「それで、その言葉が大翔を傷つけてることも」
バァァン!!!
いきなり大翔が目の前にあってテーブルをたたいて立ち上がった。
「――お前に、何が分かる?俺の気持ちか?それとも俺の考えか?」
その目は何も映していない。
怒りに震えて、亜美をただ睨み付ける。
「分かんないよ!分かんないけど、動かなきゃ変わらないよ!」
「うるさい!亜美みたいな何の苦労もないような……」
そこまで言って、大翔は黙った。
彼だって知ってる。
亜美のお母さんは亜美を庇って死んだこと。
それを思い出して、言葉を続けることをなんとか止めた。
「苦労もない……か」
「あ、わりっ……」
さっきまで元気だった亜美の顔が見るからに元気を無くした。
「……かもね」