失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
「他にも入ってたよ」
思い出しただけで暖かくなれるもの。
「例えば?」
「カップの味噌汁、シェフが作ってくれたおやつ、みんなの写真、庭に落ちてた紅葉を栞にしたやつとか、手紙とか」
毎回開けるのが楽しみだった。
この前は食べるものばっかりだったなぁ、とか、前は家の木の枝が入ってたなぁ、とか。
これどうすんのってやつもあったけど、その一つ一つがあたしのために入れてくれたものだと考えただけですごく表情が、心が軽くなった。
「俺のあずかり知らない所でそんなことが……」
「申し訳ございません。瑠伊さんや、隆さんはご自分で都合が着けば行けますが、私共はなかなか簡単には行けませんのでつい……」
まぁ瑠伊もお父さんもあたしに会いに来たのは数回だけ。
お父さんは仕事であうこともあったがお互い忙しく、言葉もかわす暇はない。
「あたしは嬉しかったからいいです。体に気を付けてくださいとか、野菜を食べてくださいとか、好き嫌いはしないでくださいとか、親みたいなことたくさん書いてあった」
あたしにはこんなにあたたかい親がいっぱいいるみたいで何か誇らしい気分だ。