先生が生徒を監禁して


少し遅めの歩調で夏川と浴室に向かう。


脱衣場まで一緒に行き。


「俺はここにいます」


「な、脱ぐとこ見るの……!」


「見ませんよ、後ろ向きますから」


手錠を外し、後ろを向く。


「あなたは俺に監禁されているのを忘れないように」


その上でこういった優遇をするのだ、せめてもの打開と知れ。とは言わずとも分かっただろう。後ろから衣擦れの音がした。


ささっと脱いだのか、割と早く夏川はバスルームに入った。


そこで俺は前を向く。


脱ぎ散らかされた服を見るとより慌てていたのが分かる。


「あがるときは言ってください。また同じ位置にいますから」


すりガラス向こうの夏川に言った。


返事はない。どうやら少し怒っているようだ。


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