先生が生徒を監禁して


中からはシャワーの音。


音を聞きながら、俺はすりガラスに背もたれる。


あくまでも見ないと豪語したからには、この姿勢が一番見えないとなろう。


更には目をつむり、完全に音だけの世界にひたる。


シャワー、髪をあらっているのか、シャンプー、リンス。これら等はあらかじめ用意しといた。

夏川が使うブランドのものだ、差し支えはないだろう。


一通り流れたシャワーが止まる。


次は湯船か、ちゃぽんとより響く音がした。


しばらく待つ。

女性の風呂は長いと知っていたが、夏川はいったいどれほどか。

把握するにはいい機会、しばらく待ち続けようと思った時だった。


「っ……!」


背もたれがなくなった。


否、倒れた。


がしゃんという音。

背中に伝わる痛みに、手を床に置いた愚策からなる痛み。


< 33 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop