ありのまま、愛すること。
「親思う心にまさる親心」

これは江戸時代の思想家で教育者でもあった吉田松陰の言葉です。

親の子どもであり、いまは子どもの親となった私は、子どもの立場としては、「とてもではないけれど、親から受けた愛を返せるわけがない」と思っています。

親の愛は無償の愛であり、親孝行をしてほしいなどとはひとかけらも思わぬ、至上の愛。

子は受けた自分の人生を喜びと感動にあふれさせ、全うするほかに、恩返しの方法などないんです。

あるいは、自分の人生を、ひとりでも多くの人にいい影響を与えるべく使う以外に、ないと思うんです。

親の立場で言えば、子どもに親孝行を意識させなくていいと思います。

それは、日々成長していく姿を見せてくれるだけで、じゅうぶん、孝行してくれていると思うからです。

子どもの笑顔に、私はどれだけ励まされてきたことか。

子どものお陰で、人生がどれだけ光り輝いたことか。

子どもの存在にどれだけ勇気づけられていることか。

親の立場からすれば、

「生まれてきてくれて、本当にありがとう。いてくれるだけで、心からありがとう」

ただ、その気持ちなんです。



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