ありのまま、愛すること。
ゴミの山にリー・マンという、11歳の、小学2年生の女の子がいました。

学校から帰ってから、1日ゴミの山でプラスチックを拾っています。1日1ドルが彼女の収入。

お父さんは行方不明と言うので、お母さんに会いに行きました。

肝臓が悪く、歩くことさえままならないお母さん。

リー・マンとその下の弟を孤児院に預けたいとおっしゃいます。

「孤児院は1年後に完成します。必ず迎えに来ます」と話しかけると、お母さんは本当に悲しい顔をして目をそむけました。

「私の生命は、1年ももたない」と、その目が語っていたのです。

ものすごい臭気、ものすごい暑さ、ものすごい埃、地獄のような生活。ここにも「夢」や「希望」のもありません。

このとき、施設の名前を考えていたのですが、彼らに会い、私は考えるのをやめてしまいました。どれもこれも、嘘くさい名前に思えてきたためです。

それから、実際の孤児院を見学のために訪れました。

一つは郊外のもの、一つはプノンペンのものです。

それらの孤児院にいる子どもたちに会うと、一人ひとりの子どもたちが明るく挨拶をしてくれたことが、とても嬉しかった。

一人ひとりの子どもたちの目に輝きが戻っていることを見て、心の底から安心したのです。

 ─子どもたちは、自ら明るく暮らしたいと思っている─
 ─子どもたちは、自ら幸せになろうとしている─

そんな当たり前のことに、あらためて気づかされ、肩の荷がほんの少しだけ下りた気もしました。


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