ありのまま、愛すること。
私たちの限られた時間を有効に活用するには、この判断は正しいと思っています。


ただ、たとえばあの小学生で家族7人を養っている女の子だけがB型肝炎とわかったら、この子を一人、あの家に置き去りにするのか。

仲のよい兄弟のことだから、一人残すくらいなら、きっと全員が来ることを拒むだろう。

カンボジアの何万人という孤児のうち、賢くて、元気な子だけ引き受けて、32人の人生に伴走する。

それはそれで間違っていないのであろうが、むくむくと違う答えが頭をもたげる。

─どうせ32人しか伴走できないんだ。それならば「縁」に任せて出会う子を大切にしていこう。

その子がB型肝炎ならそれもよし。その子が賢くて元気ならそれもよし。

わざわざ病気の子を集める体力はないけれど、病気の子に出会ったのなら、それはそれでよしと、考えることだって、正しいのではないか。

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