ありのまま、愛すること。
私たちは、このニングルの声に、このシアトルの声に、このクゥの声に、耳を澄まさねばならないでしょう。

屋久島の山に入るといつも、「地球の邪魔をしてはならない」と思います。

「地球に優しく」だなんて、とんでもない。

地球という大いなる存在は、悠久の昔から「生命の営み」を繰り返してきたのです。あるとき、「人類」という生き物がこの地球に登場し、悠久の昔から育まれてきたものを片っ端から消費し、破壊していきました。

「地球」にとって、これほど迷惑な話はないでしょう。

だから、なんとか私たち人類が地球に与える被害を最小にしなくてはいけません。

屋久島では、そのことを必ず考えます。

人類は便利に暮らしたい、豊かになりたいという欲を持っています。

「経済」と「環境」と、これまでは明らかに「経済」が優先されてきたことでしょう。

しかし、今、時はすでに、「環境」を優先する時代だと言えるのです。

私が環境を考え始めたきっかけは、お好み焼きの宅配事業で使用していた保温性の高い容器でした。

ある月曜日の朝、ゴミの集積所に発泡スチロールの容器が山積みになっているのを見て、思わず立ちすくんだのです。

「この容器はどこへ行くのだろう」と。

調べてみると、東京都の夢の島に行くのだとわかりました。

そのとき、生理的に「嫌だ」と感じたのです。お好み焼き1枚で、この大きな容器が地球に埋められていく。

そんなことが許されるわけがないと思いました。


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