ありのまま、愛すること。
しかし、関心を持たぬゆえに、人は冷酷な存在となるのです。

知らない国の出来事ではなく、隣の友だちの出来事として、世界中の出来事を見る視点を持つとき、人は優しくなれるはずです。

一人ひとりを国として描くことで、他の国に関心を持たせることを、この絵本の狙いのひとつとしました。

物語の最後に、さまざまな経験のなか、人(国)は、助け合わねばならないことを、子どもたちは知ります。

そして、それぞれがそれぞれに我慢をしなくてはならないこと、それぞれがそれぞれに自分の生まれたその状況に応じて責任があること、自分の幸せは他人の幸せにつながっていること、思っているばかりで行動しなくては何も変わらないことに気づきます。

子どもたちの顔が、個性を残しつつ、変わっていくのです。

「もの」や「お金」や「自然」や「技術」のみが修正され、みながいい顔になり、島の沈下も止まり、本はそのページを閉じます。

その本のタイトルは『無人島ウィー』(日本経済新聞出版社刊)。みなさんもぜひ読んでみてください。

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