ありのまま、愛すること。
人のなかにある希望。

このとき得られた感動は、脈々と私のなかに息づいています。

そして、現在もなお、日々の仕事を通じて、世の人々から、感動をいただいていると言えます。


私はこれまでの人生の半分に当たる27年間を、経営者として歩んできました。

ワタミグループは、おかげさまでいまや、社員は5000人を超え、売上高1200億円を超えるグループへと成長することができました。

私には「地球上で一番たくさんのありがとうを集める」という最も大きな経営理念があります。外食にとどまらず、介護、高齢者向け宅配、農業と、次第に事業分野が広がっていったのは、まさに「ひとりでも多くの人に幸せになってもらいたい」という一心からでした。

外食の仕事を始めたとき、私にとって、お客さまからのありがとうこそが、給与よりはるかに尊い、最大の報酬でした。

そしてそれは、「自分がしたいから」させていただいたものでしかありませんでした。

今もなお、私たちのサービスは、その思いを原点にしています。

人間は、誰でも自分がいちばんかわいいでしょう。

集合写真を撮れば自分から見ますし、ケーキをちょうど半分に分けたとしても、受け取る側は、自分のほうが少し小さいと感じたりするものです。

神様は人間を、そうつくられたのだと思います。

だからこそ、「利他」=「自分を犠牲にして他人に利益を与えること」を意識すると、普通なら、どうしても嘘やごまかしが必要となるものです。

なにかしらの理由を上手くつけて、利他の精神を演じようとするのです。


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