ありのまま、愛すること。
愛情にあふれて育てられた私には、愛情が満ちあふれている。

これまでは、会社の社員にその愛情を注いできました。

でもその愛情の、最後に行きつく先が、発展途上国の子どもたちなのです。

100を持っている人が暖かい環境で過ごしている。

反面、1しか持っていない人が、飢えや寒さのなかでのサバイバルを強いられる。

私は、その100と1は中和されればいいと考える人間です。

50対50くらいに均衡になれば、全世界の人がそこそこ幸せになれるではないかと。

いま、カンボジアの学校には81人の子どもがいます。私の愛しい子どもたちです。

カンボジアを訪れると、私が歩く沿道に子どもたちの長い列が続き、手を合わせて私の目を見つめ、
「オークンチャラーン(ありがとう)」
と言ってくれる。その光景を、私は忘れることができません。

私の部屋の壁に掛けてある言葉。

 ─空腹と貧困の中に生き、そして死んでいく世の兄弟姉妹に奉仕するに値する者となれますように─

マザーテレサの祈りです。

「奉仕させてください」ではないのがとても気に入っています。

限りなく自分への欲を小さくし、他の人への欲を大きくする。とてつもなく、この生き方に憧れる。

私はカンボジアの子どもたちを、本気で自分の子どもだと思っています。

母から受けた愛情に近いものを、真剣にあの子たちに注ぎたいと考えている。

無条件の愛をもらった私は、無条件の愛を、今度は彼らに注いでいこうと思うのです。

そんな彼らを。そして、出逢えたすべての人々を。


ありのまま、愛すること。


私が母から授かった使命はここにあるのだと、いま、信じてやみません。


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