午睡は香を纏いて
レジィは数日前から、数人の人たちと旧オルガ邑へ様子見に出かけている。
リレトはそこに見張りの兵を残しているらしく、そのせいで邑の奪取が難しいのだそうだ。

リレトを倒したらきっと勝機が見えるはずだから下調べしないと、と言っていたけれど、兵のいるところに行って大丈夫だろうかと心配でならない。
オルガ邑の生き残りは、見つけ次第殺害するべし、というお触れがでているのだと聞いた。

ふう、と小さなため息をつくと、トマスさんがくすりと笑った。
穏やかなトマスさんは、二歳になる双子の女の子のお父さんだ。


「大丈夫ですよ。長に限ってヘマはないでしょう。他もしぶとい奴ばかりですしね。明日、明後日くらいには帰ってきますよ」

「そう、ですね。あ、会議中に失礼しました」

「いえいえ」


会議を中断させてしまったことを詫びて、母屋を出た。
そのまま離れへと足を向ける。

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