午睡は香を纏いて
無事でいたことが嬉しくて、気付けばライラに抱きついていた。
ぎゅう、と腕に力を込めて、次にライラに怪我がないか、体を見回した。


「怪我はない? 何ともなかった?」
「はい! 父が少し負傷しまして、傷が落ち着くのを待っていたら遅れました。
ご心配おかけしまして申し訳ありません」


ライラは別れた時より幾分痩せたような気がするけど、血色のいい顔や生気のある様子を見てほっとする。

でも、ゼフさんの方を見れば、ライラの言葉通り右腕に包帯が巻かれていた。


「ゼフさん。大丈夫なんですか? 動いても平気ですか?」

「いや、お恥ずかしい。ほんのかすり傷です。カサネ様のお元気なご様子を拝見しましたので、すぐに治りますでしょうよ」


はは、と笑うゼフさんも元気そうには見えるけれど、と思えばカインが近寄ってゼフさんの右腕に触れた。
具合を確認するかのようにゆっくりと撫でる。


「後で俺の部屋に来て。塗り薬と飲み薬、用意しとく。それと、話も聞きたい」

「おお、それはありがたい。怪我人は他にも二人ほどおるのですが、よろしいですかな?」

「構わないよ。その代わり、全員身奇麗にしてから来て。部屋が土埃まみれになるだろ」


あの部屋、土埃が多少舞っても問題ないくらい汚れていますけど。


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