午睡は香を纏いて
湯浴みを手伝うと言ったあたしを、ライラは全力で拒否した。


「カサネ様にそのようなことさせられません!」

「何で? ライラはあたしの為に怖い思いをしたんだよ?
あたし、何にもお礼できないし、背中を流すくらいのこと、させてよ」

「ダメです! 絶対にいけませんっ」


どう言ってもライラは頷いてくれず、次第にあたしがライラにセクハラしているのではないかという気がしてきたので、しぶしぶ諦めた。

仕方がないので、ライラの為に夕食作りに精を出した。
と言っても簡単な料理しかできないあたしは、フーダの手伝いが主だったけれど。

お湯を使ってすっきりとしたライラはそれに対しても申し訳ないと言い、それでも美味しそうに食べてくれた。


「あれから、やっぱり追っ手が来たんです。カサネ様が出発された日の、夜中のことでした。ぎりぎりまで引き付けてから、父と逃げました」
 
食後のお茶を飲みながら、ライラがぽつぽつと今までのことを語りだした。


「オルガの者は、他に三名いました。二手に別れ、レジェス様とは違う道筋を通り、オルガへ向かうことにしたのですが、途中で追いつかれ、切り合いになりました。
その時、父が切りつけられてしまったんです」

「あのゼフを切りつけるとは、結構な腕の持ち主がいたもんだね。それとも、大勢に囲まれたのかい?」


お茶を啜ったフーダが訊いて、ライラはこくんと頷いた。





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