午睡は香を纏いて
「カサネの服、見せてー」


セルファには、異世界の服というのはすごく惹かれるものらしい。
玩具を待つ子供のような顔をしている。


「カサネ様の服? ああ、そこの荷袋の中にあるが」


ゼフさんが言い終わるのを待たずに、セルファは袋を開けていた。
多少汚れているものの、丁寧に折りたたまれた制服を取り出して感嘆の声を上げる。


「すごい! こんな意匠は初めて見た。これ、こんなに短くてどうするの? 下に何を着るわけ?」

「着ない。靴下を履くだけだよ。その長さは様々だけど、大体膝くらいかな」


本当かよ! とスカートを様々な角度から眺めるセルファから、カインに向き直った。


「カイン。ゼフさんたちから、聞いた?」

「ああ。その服のこと?」


包帯や薬壜を片付けながら、セルファの掲げるスカートを顎で指した。


「うん。あたしがここに転送されたとき、これと同じ服装をした女の子が数人、周りにいたの。
彼女たちが巻き添え的にここに転送された可能性は、ない?」

「ないね」


大興奮のセルファに呆れた一瞥を寄越して、カインは断言した。




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