午睡は香を纏いて
「本当? うっかりやっちゃったかも、とかないの?」
「ない。うっかり人間一人を転送できるほどの力は、俺にはない」
今度はあたしに冷ややかな視線を向けた。
「大人を二人どうにか背負ったら、ついうっかりもう一人余計に背負ってました、なんて馬鹿げたことがある? ないだろ」
「う……」
なんて分かりやすい説明。
確かに、そんな間違いするわけない。
言葉に詰まったあたしに、カインはため息を一つついた。
それから顔を引き締める。
「レルフが言うには、その商人は『よく似ている』って驚いたらしい。
しかし、さっきセルファが言った通り、そんな意匠の服はこの世界には存在しない。
ということは、考えられるのは一つ。
俺ではない誰かが、カサネのいた世界から少女を一人引っ張ってきているかもしれない、ということだ」
「そ、んな……」
「そして、そんなことが出来る人間を、俺は一人しか知らない」
言われなくても、誰だか分かった。
艶やかな黒髪の、冷たい笑みを浮かべるあの男。
「リレト……、だね?」
口にしたくもない名前。カインは苦い顔をして頷いた。
「ない。うっかり人間一人を転送できるほどの力は、俺にはない」
今度はあたしに冷ややかな視線を向けた。
「大人を二人どうにか背負ったら、ついうっかりもう一人余計に背負ってました、なんて馬鹿げたことがある? ないだろ」
「う……」
なんて分かりやすい説明。
確かに、そんな間違いするわけない。
言葉に詰まったあたしに、カインはため息を一つついた。
それから顔を引き締める。
「レルフが言うには、その商人は『よく似ている』って驚いたらしい。
しかし、さっきセルファが言った通り、そんな意匠の服はこの世界には存在しない。
ということは、考えられるのは一つ。
俺ではない誰かが、カサネのいた世界から少女を一人引っ張ってきているかもしれない、ということだ」
「そ、んな……」
「そして、そんなことが出来る人間を、俺は一人しか知らない」
言われなくても、誰だか分かった。
艶やかな黒髪の、冷たい笑みを浮かべるあの男。
「リレト……、だね?」
口にしたくもない名前。カインは苦い顔をして頷いた。