午睡は香を纏いて


――――キッチンに、お母さんがいる。



ふわりとスープのいい香りがして、起きてきたあたしを見て『おはよう』と笑う。
朝食の用意を手伝って、支度が済んだところでお父さんが起きてきた。
いい匂いだ、と笑って、三人で食卓につく。
二人ともにこにこ笑っていて、せっかくのいい天気だからお出かけしよう、なんて話して。


ああ、これは夢か。
昔の夢。随分前に消えてしまった、幸せな夢――――







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