午睡は香を纏いて
月明かりがほんのりと道筋を照らしてくれていた。
すでに夜は更けていて、周囲は灯りが消えている家が多かった。

そんな中、足取りの重たいあたしに付き合っていたカインが立ち止まって、大きなため息をついた。


「今カサネが悩んでもどうしようもない。
笑えとは言わないけど、せめてその亀のような歩みは止めろ」

「ごめん……。あたし一人で帰れるし、もういいよ。
二人が待ってるんだし、カインは帰って」


ぺこんと頭を下げる。
カインは再び盛大にため息を零した。


「一人で帰せるわけないだろ。
もう夜中だし、しかもカサネは泣きそうな顔してる。
ちゃんとフーダに引き渡さないと、こっちが安心できない」

「ごめん……」

「謝れとか言ってない」

「ごめん……」


嫌な子だ、あたし。
自分の中がぐちゃぐちゃだからって、カインを困らせるようなことをしてる。

でも、頭の中は莉亜のことでいっぱいで、どうしても不安ばかりが膨らんでしまう。

< 154 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop