午睡は香を纏いて
実際に力を持つ巫女や神官がいるこの世界だ。
占い師だって力があってもおかしくないかも。
的中率が高かったりして。

しかしセルファは顔の前で手を振って見せた。


「そんな大したもんじゃない。
巫力のある奴は神殿入りだから、こんなところにいるわけがない」

「あ、そうか。そうでしたね」


カインの授業で聞いたっけ。失敗失敗。


「それに、いくら巫力があっても先読みはできないらしいよ。未来を見通す力なんてのは、神しか持たないんじゃない?」


なんだ、この世界でも占いは不確かで頼りないものなのか。
考えたら、そりゃそうか、とも思うけど。
占いが確実なものだったら、リレトの策略なんて最初から潰せたはずだもんね。

それでも異世界の占いはどんなのだろう、と気になってしまう。
占いのテーブルを通り過ぎようとしたとき、ふと視線をやると、女の人が「きゃあ」と黄色い声をあげた。
嬉しそうに胸元で手を叩いている。

想いは成就する、なんて言われたんだろうなあ、とそっと笑った。
気休めかもしれなくても、悪いことを言われるよりは、いいよね。


「……あれ? 先生、ゼフがいません」


気付けば、あたしたちの数歩あとを歩いていたはずのカインがいなくなっていた。


「え? あ、本当だ。ユーマを叱ったくせに、自分が迷子になったかな」


やれやれ、とセルファがため息をついた。立ち止まって、来た道を振り返る。
のんびりとこちらに向かってくるカインの姿を認めた。
< 190 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop