午睡は香を纏いて
「起きなよ、カサネ。もう朝だよ」

「ふ、へ? 朝……」


ぽすぽすと頭を叩かれる感覚で、目が覚めた。
寝ぼけたまま瞬きを繰り返す。
ランプの灯りではない、日の光に照らされた顔があたしを見下ろしていた。


「あ、れ? セルファ、だよね?」


それは、セルファによく似た男の人だった。
同じ顔なのだが、セルファと違って金髪が真っ直ぐに伸ばされているし、何より目尻の花がない。


「そうだよ。やだな、少し見た目を変えただけで間違えちゃうの?」


ふふ、と笑う目元に少し物足りなさを感じるが、それはやはりセルファだった。


「そ、そんなことないけど……。ってあれ? いつ帰ってきたの?」

「夜中だよ。奥で寝ろって言ったのに、カサネってばカウチで寝てるんだもんな」

「え? あ、そうだっけ。でも」


辺りを見渡せば、そこはあたしに割り当てられた奥の部屋だった。


「カインが運んでくれたんだよ。ぐっすり寝てたから、全然起きなかったみたいだね」

「ええ!?」


一気に目が覚めた。

ああ、あの時さっさとベッドに入っていればよかった。
間抜けな寝顔を見られた上に抱きかかえられてしまうなんて、恥ずかしすぎる。


と、あることに気付いて慌てて体を起こした。


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