午睡は香を纏いて
「身分? ええと、一、一等神武官、とかいう役職だったから?」


動転してしまって、うまく頭が回らない。どうにか言葉を引っ張り出して訊くと、セルファは首を横に振った。


「いや、そんなものじゃない。まあ、その辺りも後でカインに教えてもらって。とにかく、カインは無事。危険なのはカサネの方なんだ」

「あたし?」

「神殿で待っているのは、リレトだ」

「リレ、ト……」


聞きたくもない、最悪の名。
そうだ。神殿に向かっているというのなら、その先にはリレトがいるということじゃないか。
すう、と音を立てて血の気が引くのが分かった。


「カインは殺されることはない。リレトどころか、大神武官だってカインには正面から手が出せないはずだから。
でも、オレたちは別だ。しがない仕立て屋にただの小娘。いや、山賊の一味だもんな。簡単に殺せる。
リレトはカサネの命を奪って、再びどこかに転生させてしまうだろう」


殺される。そして、どこかに転生させられる? 
レジィから聞いた、サラの死に様。
それと同じ死が、あたしにもまた待っているというの。

カタカタと小刻みに震えだしたあたしを、セルファが抱きとめた。

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