午睡は香を纏いて
「野犬、ね。お前たちの方が山賊より下卑た真似するじゃないか」


ふん、と鼻で笑ったセルファが、あたしの頭に自分の頭を重ねた。


「ほらー、震えるなって。そんなこと絶対にさせないからさ」

「で、でも」

「大丈夫だって。オレだってオルガの男だよ? カサネ一人くらい逃がしてみせるさ。
で、ますはこの縄をどうにかしよう。カサネ、オレの靴の内側、手を入れられる?」

「く、くつ?」

「そう。狭いうえにカサネが間にいるから、そこまで手が届かないんだ」


ちょいちょい、とセルファが左足を振った。
どうにか体を動かして、セルファの革製のブーツの内側に手を入れた。
と、硬いものが手に触れた。


「ん、しょ。あ、何かある。内布の中の方」

「それそれ。その部分の布引っ張って」

「ん、分かった」


力を込めると、簡単に布が破れた。中から出てきたものを引っ張り出す。

それは、小さなナイフだった。
飾り気のない、シンプルなもの。

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