午睡は香を纏いて
綺麗な顔がにっこりと笑みを作る。


「少し、気分が悪いフリしてて?」

「へ? あ、」


あたしが何か言う間もなく、セルファは大きな声を上げた。


「ユーマが苦しみだした! 死にそうだ! 放置していいのか!?」

「何だと!?」

「大神武官補佐が詮議した後に処刑なのだろう!? その前にこと切れてもいいのか!」


少しの間が空いて、ゴトンと大きく揺れて動きが止まった。
鍵を外したのだろうか、重そうな金属音がした。


「カサネ、逃げろよ?」

「や、セル……」


セルファの笑顔の向こうに、外への光が見えた。


「出てこい!」


大きな手が、セルファの肩を掴んで引いた。力任せな行為に、セルファは背中から転げ落ち、くっついていたあたしもそのまま外に転げ落ちた。


「っ、う……。痛、ああっ!」

「顔を上げろ!」


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