午睡は香を纏いて
「セルファァァ!!」


黒服が裂け、血が飛ぶ。手を離れた剣は高く空を舞った。
足はセルファに向かっていた。


「カサネ! 来るな!」


顔を歪め、あたしを見ながら声を上げる。
その背中に、下から跳ね上げるようにもう一太刀。ぱ、と血しぶきが広がるのが見えた。

青草が赤く染まる。その上に、セルファは天を仰ぐようにして倒れた。


「セルファ! 嫌!!」


セルファが死んでしまう。このままじゃ殺されてしまう。
駆け寄りながら、頭は真っ白になっていた。

どうしよう、どうしたらいい?
誰か、誰か助けて。このままじゃ殺されてしまう。

ううん、あたしに力があれば。ここを生き抜けるだけの力があれば。


「セルファ!」


駆け寄り、力を失った頭を抱きかかえた。


「ば、か……。オレ、斬られ損、じゃん……」


胸元で、弱弱しい声がした。


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