午睡は香を纏いて
「置いてけるわけないよ!」

「……女、そいつから離れろ。早くしないと斬る。死なん程度とは言っても、苦しむぞ」


背後で、荒い呼吸がした。
血糊のついた剣が頬の横に添えられ、ちりり、と頬に痛みが走る。


「カサネ……、離れ、て……」


消え入りそうな声に、首を横に振って答える。
このまま離れてしまえば、もうセルファは助からない。


「離れろと言っている!」


さっきよりも鋭い痛みが与えられた。
セルファを抱きしめる腕に、一層の力を込めた。

自分の無力さに、涙が出る。
あたしがサラだったというのなら、巫力が戻ってきたというのなら、どうして人一人救えないの。
見殺しにしかできないあたしが、世界の希望、なんて御大層なものになれるわけがない。

あたしはいつまでも情けないカサネのまんまなんだ。
でも、もしあたしがサラだったというのなら、今。




――力が欲しい――



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