午睡は香を纏いて
そう願った、その時だった。

光が溢れた。


「な、なんだ!?」

「巫力の暴走!? いや、転送か!?」


激しい光の向こうで、狼狽えた声が聞こえた。


『聞こえた、巫女の声』

「な、なに!?」


セルファを抱きかかえるようにしていたあたしの頭に、直接語りかけてくる声がした。
この声は、もしや。


『これで助けてあげられる。身を預けなさい。おいで、サラ』


ぐん、と強い力で体が引っ張られる。
ああ、これ知ってる。転送だ。
 
どんな人でもいい。助けてくれると言うのなら、とセルファを抱く腕に力を込めた。


ああ、カイン。カインも一緒に連れていきたいのに。

騒ぎが、ぐんと遠くに聞こえた。
カイン。無事でいて。お願い。


空間が、飛んだ。

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