午睡は香を纏いて
小さく震える声は、弱弱しい。それでも、セルファはあたしを見て取ると微かに笑って見せた。
しかし、すぐに眉根を寄せる。


「頬、怪我……。女の子に、ひどい……な……」


頬? 触れてみるとガーゼのような何かが貼られており、ぴりり、と電気が走るように痛んだ。ああ、ここ斬られたんだっけ、と思う。


「こんなの、かすり傷だってば。すぐ治る! 大丈夫!」

「他、は……?」

「他に怪我なんてしてない! あたしは無事だから。ありがとう、セルファ。ありが、と……」


涙が止まらない。
こんな状態なのに、あたしの心配なんてしないでよ。
セルファの方が、大怪我なんだよ。死にかけたんだよ。あたしなんかを守ろうとして、死にかけちゃったんだよ。

もぞ、と布団が動いた気がした。
セルファの手だ、と気付いてすぐに手を差し入れる。探り当てたセルファの左手を、強く握りしめた。


「もう大丈夫だから。安心して、セルファ」

「よか、った……」


ふ、と息を吐くように、セルファは呟いた。そしてそのまま、すう、と寝入ってしまった。


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