甘い罠
電話しながら秀にぃちゃんとの事をボーと考えていると、後ろから
「姫華。俺をほったらかしで何、楽しそうに秀(しげる)と楽しくお喋りしてんの?」
と麗が抱きついてきた。
「ひゃわっ!」
麗の冷たい手が私のお腹に触ってきたので変な声が出た。
あ。
秀っていうのは秀にぃちゃんの事ね。
本名が竹下 秀
(たけした しげる)
だから、麗と庵は秀って呼んでるんだけど…
私は
"しげるにぃちゃん"
より
"しゅうにぃちゃん"
の方が呼びやすいから
"しゅうにぃちゃん"
って呼んでる。
ってか…
恥っ!
「ちょっと、もぅ!離れてよ!」
秀にぃちゃんに聞こえないように麗に離すように説得する。
すると、麗は携帯を当ててない方の私の耳元で
「昨日はあんなに感じちゃってたのに?」
と囁いて耳の淵(ふち)を噛んだ。
「…っ。ちょっと、止めてってば。今、秀にぃちゃんと電話してるんだから。」
「じゃぁ、秀との電話が終わったらヤってもぃぃの?」
麗はニヤッと笑う。