大吉男と大凶女
「気に入った?あれで!?」
「うん」

一瞬恭子は何を言っているんだ、とか思って聞き返したが、間髪入れずに答えが返ってきた。

「だってオレ怒られてたんだぞ?」
「ほら、ことわざであるじゃんかっ!『嫌い嫌いも好きのうち』って」

おぉーっと……思わぬ天然ぶりに俺はびっくりだ。

「それって『嫌よ嫌よも好きのうち』じゃないのか?」
「だっけ?ま、まぁそれよ、うん、それ」

明らかに動揺していた。いちいち面白いな、コイツ。意外な発見だった。

「ほら、最近で言うと……ツンデレ?」
「ツンデレか……」

お婆ちゃんもツンデレの領域に入ることが出来るとは……どうやらツンデレに年齢は関係無いらしい。あくまで恭子のなかでは。

「じゃあツンデレばあちゃんで決まりだな、あの人」
「いぃねー、それ!今まではひどいあだ名しか無かったんだよ!」
「例えば?」
「えっと……ガミガミばあちゃんとか怒りん坊ばあちゃんとか」

あだ名をつけた人のセンスがよく出てるな。

「個人的に一番面白かったのは理不尽ばあちゃんだったよ」

こちらを見ながら、思い出し笑いを浮かべ恭子が言った。
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