マイ・シュガーランド



「しんごが東京に来てすぐ、あたしたち付き合い始めたの。


もちろん、健気で一途な彼女がいるって知ってた。

まぁ、遠距離だし?たまにしかこっちに来ないし、毎日の電話はウザかったけど、お金には変えられないから我慢してあげたの。


あなた、彼と暮らすために必死で働いてたもんね~

予定ではもっと早く東京に来てくれるはずだったのにぃ

ま、ど田舎じゃ給料も安いし働く場所もあまりないから仕方ないのかなぁ~



ふふ・・
かわいそ――っっ」



女の笑い声が路地裏に、頭の中に、心臓に、響く。





「あ!!
もしかして、携帯とりにきたの?

ほら―――っ!やっぱり!
賭けはあたしの勝ち~」



――――賭け…?



「未練がましく取りにくるって思ってたもん!

今とってくるからね、待ってて~


あ、ちなみに、着信もメールも、数日間なにもなかったからね~」



笑いながらマンションの中へ入っていく。





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