マイ・シュガーランド
―――そのとき、わたしの左手が温もりに包まれた。
「なっちゃん、携帯あった?」
―――――柘植、さん・・
「時間ないんだから、早く行くよ。
あんた・・
なっちゃんの元カレ?」
「―――――!!?」
彼は柘植さんを見ると、心の底から驚いているのか、口をパクパクしながら柘植さんを指差した。
「――な、なんで…
クローバーの柘植、だろ?!」
「クソガキ。
気安く人の名前呼ぶんじゃねーよ。」
柘植さんは満面の笑顔をしているのに、いつもの明るい声ではなく、低くドスの効いた声を発した。
力強く握られた左手は痛いほどだ。