マイ・シュガーランド
いつもと違う柘植さんに、驚きを隠せないわたし。
もちろん、彼も。
しばらくの沈黙を破ったのは彼だった。
「――な、に?
どーゆうこと?菜々子、こいつ彼氏なの?
・・浮気、してたのか?
…最低だな。」
彼は絞り出すように言葉を発し、わたしを睨んだ。
言葉が出ない。
わたし、こんな人を必死で好きだったの?
家族も仕事も友達も捨ててまで一緒になりたかった人なの?
悲しみ、怒り、失望・・・
さまざまな感情が心の中で渦巻く。
「・・・最低…?」
低く、鋭い柘植さんの声が路地裏に響く。
「―――――っ!!」
彼はビクッと身体を震わせ、怯えるように柘植さんを見ている。