雪・時々晴れ
「ちょっとお風呂のお湯止めてくる」


坂井さんがお湯を止めに行ってから私の心臓は激しく音をたて、この場から消えてしまいたいくらい恥ずかしくなり立ち上がった。


「じゃ…帰ります」


お風呂場の前を横切り、慌てて玄関の方に行く私の腕を掴み、坂井さんは自分の方へ引寄せた。


「俺も佐伯さんカワイイと思ってるよ」


お風呂場からの湯気だけが生き物の様に揺らめく中、二人は見つめ合い、そして、どちらからでもなくキスをした。


坂井さんはベッドに私を連れて行った。お互い体を求め合い、私の坂井さんへの想いはより一層強いものへ変わって行った。


その後の坂井さんの一言目は


「悪い子だ…」であった。


内心、関西人の私は、そんなセリフを本当に言う人が居るんだと少し可笑しくなった。


「ねぇ坂井さん!私、坂井さんの彼女になりたい」


「それは無理でしょ、俺、部長に殺されるんじゃない?」


「大丈夫ですよ……?」


「ダーメ」


思いもよらない返答だった。


もう少し一緒に居たかったが、それこそ親が心配するといけないので慌てて部屋を出た。


帰り道、悲しくなったが泣き顔で家に入るわけにはいかないので堪えた。


家へ帰ると父に坂井さんの事を聞かれたので、御飯のしたくをして、食べ終わるのを見届けて、食器を洗ってから帰ってきたと嘘をついた。


自分の部屋へ入るなり、ため息と共にうな垂れた。
こんな冒険をした結果、思い返すと
「悪い子だ…」なんて言われ、そんなこと言う人が本気な分けないかと冷静になった。


数分後…
(失敗した~~~!)
と心の中で叫んでいた。
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