サクラ誘惑
「この前、さくらが補習に行っちゃった日、私日直だったの」
星空を見ながら言う奈美。
「それで、黒板綺麗にしてたんだけど、背が足りなくて背伸びしながら動いてたら、台踏み外しちゃって」
「うん」
「落ちる!って思ったんだけど、フワッて体が浮いてね。大丈夫?って…」
少し頬を赤らめて言う奈美。
「私一人しか教室に残ってなかったから、びっくりして見たら、それが谷田部くんだったの」
言い終わった奈美は、少しかっこよく見えて。
「応援するよ」
ぱぁっと明るくなった奈美を見て、絶対上手くいってほしいと思った。
高校生に恋をした友達をただ見守りたかったんだ。