黒き藥師と久遠の花【完】
「生き様だって? 俺のことをずっと見ていた訳でもないのに、何が気に入ったっていうんだ?」

 みなもはムッとなってナウムを睨む。
 相手がこの男じゃなくても、自分の今までを知ったかぶりされるのは面白くない。

 敵意を隠さないこちらに対し、ナウムは怯むどころか、嬉々とした表情を浮かべた。

「お前の姿を見て、少しやり取りしただけでも分かるんだよ。……お前はオレと似ているからな」

 似ている? どこが?
 みなもが訝しげに顔をしかめると、ナウムは不敵に笑った。

「オレもお前も、いずみを守るために生きてきたようなもんだ。アイツを守るためなら手段は選ばねぇし、利用できるものは利用する……お前もそうやって生きてきたんだろ? その生き様がオレにはたまらねぇ」

 確かに、頭の中では一族全員の行方を知りたいと思っていたが、心はいずみに会えることを夢見ていた。
 今度こそ姉を守りたい。
 そのために『守り葉』の力を奮うことを、強く望んでいた。

 自分の扱う毒や嘘で、誰が苦しもうが傷つこうが関係ない。
 目的のために自分が傷ついても構わない。

 今までを振り返れば、『久遠の花』を――ひいては姉のために戦い続けることが生きる全てだった。
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