黒き藥師と久遠の花【完】
わずかにナウムの目が丸くなり、面食らったような表情を見せる。
しかし、すぐに不敵な笑みを浮かべてみなもへ近づくと、彼はしゃがんで目線を合わせてきた。
「その言葉、待っていたぜ。お前はオレの欲しいものを全部持っているんだ、どの部下よりも大切にしてやるよ」
ナウムが腕を伸ばして、みなもの頬に優しく手を当てる。
何度も見た夢が脳裏に過ぎり、体が強ばりそうになる。
そんな弱みを知られまいと、みなもは頭を垂れてナウムの手から逃れた。
「ありがとうございます。ただ、一つお願いしたいことがあります」
「何だ? 無茶な内容じゃなければ、どんなことでも聞いてやる」
「どうか、近々エレーナ様と二人きりでお話しする機会を下さい。お伝えしたいことは、まだまだたくさんありますから」
ナウムから小さく唸る声が聞こえる。
しばらくして、こちらの肩に手を乗せ「顔を上げろ」と命じてきた。
みなもが言われるままに顔を上げると、ナウムは苦笑を漏らした。
「その頼み、聞いてやるが……オレの頼みも聞いてくれ」
「頼み、ですか?」
「オレと二人きりの時は、今まで通りにしてくれ。その敬語に態度、思いっきり距離を取られた感じで面白くねぇ」
今度はみなもの目が丸くなり、不敵な笑みを浮かべ返す。
「部下になる以上、立場をわきまえたほうが良いと思ったんだけどね。まあ、白々しいやり取りをしなくていいのなら、俺もありがたいよ」
「そうそう。それぐらい生意気なほうが、口説き甲斐があっていい」
愉快げに声を弾ませながら、ナウムが肩に乗せていた手でみなもの顎を持つ。
咄嗟にみなもはその手を払い、素早く立ち上がる。
「調子に乗るな。俺はあくまでも部下だ、お前を喜ばせる娼婦になる気は一切ない」
「クク……お前は十分にオレを喜ばせてくれる。娼婦にする必要もねぇよ。だが――」
しかし、すぐに不敵な笑みを浮かべてみなもへ近づくと、彼はしゃがんで目線を合わせてきた。
「その言葉、待っていたぜ。お前はオレの欲しいものを全部持っているんだ、どの部下よりも大切にしてやるよ」
ナウムが腕を伸ばして、みなもの頬に優しく手を当てる。
何度も見た夢が脳裏に過ぎり、体が強ばりそうになる。
そんな弱みを知られまいと、みなもは頭を垂れてナウムの手から逃れた。
「ありがとうございます。ただ、一つお願いしたいことがあります」
「何だ? 無茶な内容じゃなければ、どんなことでも聞いてやる」
「どうか、近々エレーナ様と二人きりでお話しする機会を下さい。お伝えしたいことは、まだまだたくさんありますから」
ナウムから小さく唸る声が聞こえる。
しばらくして、こちらの肩に手を乗せ「顔を上げろ」と命じてきた。
みなもが言われるままに顔を上げると、ナウムは苦笑を漏らした。
「その頼み、聞いてやるが……オレの頼みも聞いてくれ」
「頼み、ですか?」
「オレと二人きりの時は、今まで通りにしてくれ。その敬語に態度、思いっきり距離を取られた感じで面白くねぇ」
今度はみなもの目が丸くなり、不敵な笑みを浮かべ返す。
「部下になる以上、立場をわきまえたほうが良いと思ったんだけどね。まあ、白々しいやり取りをしなくていいのなら、俺もありがたいよ」
「そうそう。それぐらい生意気なほうが、口説き甲斐があっていい」
愉快げに声を弾ませながら、ナウムが肩に乗せていた手でみなもの顎を持つ。
咄嗟にみなもはその手を払い、素早く立ち上がる。
「調子に乗るな。俺はあくまでも部下だ、お前を喜ばせる娼婦になる気は一切ない」
「クク……お前は十分にオレを喜ばせてくれる。娼婦にする必要もねぇよ。だが――」