黒き藥師と久遠の花【完】
 ざわざわと、みなもの腰から背筋に沿って悪寒が這い上がってくる。
 けれど悪寒が頭の上まで登り切った後、熱を帯びた鈍い痺れが、ゆっくり足から上へと広がっていく。

 早く離れなければ、自分がおかしくなってしまう。

 みなもは震えそうになる足に力を入れ、ナウムを横目で睨んだ。

「今度姉さんと会わせてくれた時に、手紙を姉さんへ渡す。それなら心配ないだろ? 他の人に渡さないか、見張ってもらっても構わないよ」

「なるほど。そこまで言うなら、本当に送る気がなさそうだな。疑ってすまなかったな」

 ナウムに声の調子が戻り、みなもの腕から手を離す。
 そして「良い子だ」と頭を撫でてきた。

 慌てて彼の手を払おうと、みなもは手を上げようとする。

 しかし力は入らず、ナウムの手を払うどころか、自分の腕すら動かすことはできなかった。
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