黒き藥師と久遠の花【完】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ナウムの部下になると告げた三日後の朝。
みなもは目を覚ますと緩慢な動きで体を起こし、熱を帯びた長息を吐き出す。
休んでいるハズなのに、体は虚脱感でいっぱいだった。
(……いい加減、嫌になってくるよ)
毎晩、同じような悪夢を見続ける。
しかも日を重ねるごとに夢は鮮明さを増し、目覚めた後も、体からあの手の感触が消えてくれない。
必ず悪夢を見てしまうと分かった今、もう驚いて飛び起きる気は失せた。
あの夢が現実にならなければ、夢でどんな扱いを受けても構わない。
所詮は夢でしかないのだから……。
気を持ち直そうと、いつものように首飾りの石を見つめる。
悪夢ですり減ってしまった精神が継ぎ足され、元の自分を取り戻していく。
ただ、みなもの顔に浮かんだ翳りを消すことはできなかった。
この石に助けられている。
けれど、夢で受けてしまった自分の穢れを、この澄み切った石に吸わせているように感じてしまう。
このまま石が濁ってしまい、彼の面影を消してしまいそうな気がした。
(これ以上、この首飾りを汚す訳にはいかない。特に今日は――)
みなもはベッドから降ると、衣装棚の前まで歩いていく。
そして戸を開け放って中を見回した。
ナウムの部下になると告げた三日後の朝。
みなもは目を覚ますと緩慢な動きで体を起こし、熱を帯びた長息を吐き出す。
休んでいるハズなのに、体は虚脱感でいっぱいだった。
(……いい加減、嫌になってくるよ)
毎晩、同じような悪夢を見続ける。
しかも日を重ねるごとに夢は鮮明さを増し、目覚めた後も、体からあの手の感触が消えてくれない。
必ず悪夢を見てしまうと分かった今、もう驚いて飛び起きる気は失せた。
あの夢が現実にならなければ、夢でどんな扱いを受けても構わない。
所詮は夢でしかないのだから……。
気を持ち直そうと、いつものように首飾りの石を見つめる。
悪夢ですり減ってしまった精神が継ぎ足され、元の自分を取り戻していく。
ただ、みなもの顔に浮かんだ翳りを消すことはできなかった。
この石に助けられている。
けれど、夢で受けてしまった自分の穢れを、この澄み切った石に吸わせているように感じてしまう。
このまま石が濁ってしまい、彼の面影を消してしまいそうな気がした。
(これ以上、この首飾りを汚す訳にはいかない。特に今日は――)
みなもはベッドから降ると、衣装棚の前まで歩いていく。
そして戸を開け放って中を見回した。