黒き藥師と久遠の花【完】
こちらの譲らない眼差しから、いずみが目を逸らす。
そして心細くて誰かに助けを求めるような表情を浮かべた。
「ごめんなさい……みなものお願いは聞けないわ。この国のためにも、イヴァン様のためにも」
少しだけ願いを聞いてくれることを期待していたが、拒まれることは覚悟の上だった。
覚悟していたが、いざ現実を突き付けられると、みなもの胸が痛くなる。
ここで目的を果たせなければ、もういずみは自分と二人きりで会おうとはしてくれない。
だから、今を逃す訳にはいかなかった。
みなもは立ち上がり、いずみへ近づこうとする。
「エレーナ様に近づくな!」
次の瞬間、部屋の壁から数人の男たちが現れ、周りを取り囲んでくる。
しかし、みなもは驚かず、冷静に彼らを見渡す。
(護衛に誰かを潜ませているとは思ったけど、こんなに隠れていたのか)
一人の男がいずみの側へ寄り、ソファーから立ち上がらせると、こちらを伺いながら距離を取っていく。
みなもが一歩前に進もうとした時、彼らは腰の短剣を抜き、鋭い切っ先を向けてきた。
「動かないでもらおうか。いくらエレーナ様やナウム様の寵愛を受けているとしても、エレーナ様を傷つけるような真似は許さない」
「……分かった。貴方に従うよ」
自分が無抵抗だと示すように、みなもは両手を耳元まで上げる。
袖が下へずれ、手首があらわになる。
右の手首には琥珀色の、左の手首には漆黒の小石を連ねた腕輪があった。
漆黒の小石を一粒だけ歯で咥えて取り外すと、そのまま噛み潰す。
それを見た途端、いずみが血相を変えた。
そして心細くて誰かに助けを求めるような表情を浮かべた。
「ごめんなさい……みなものお願いは聞けないわ。この国のためにも、イヴァン様のためにも」
少しだけ願いを聞いてくれることを期待していたが、拒まれることは覚悟の上だった。
覚悟していたが、いざ現実を突き付けられると、みなもの胸が痛くなる。
ここで目的を果たせなければ、もういずみは自分と二人きりで会おうとはしてくれない。
だから、今を逃す訳にはいかなかった。
みなもは立ち上がり、いずみへ近づこうとする。
「エレーナ様に近づくな!」
次の瞬間、部屋の壁から数人の男たちが現れ、周りを取り囲んでくる。
しかし、みなもは驚かず、冷静に彼らを見渡す。
(護衛に誰かを潜ませているとは思ったけど、こんなに隠れていたのか)
一人の男がいずみの側へ寄り、ソファーから立ち上がらせると、こちらを伺いながら距離を取っていく。
みなもが一歩前に進もうとした時、彼らは腰の短剣を抜き、鋭い切っ先を向けてきた。
「動かないでもらおうか。いくらエレーナ様やナウム様の寵愛を受けているとしても、エレーナ様を傷つけるような真似は許さない」
「……分かった。貴方に従うよ」
自分が無抵抗だと示すように、みなもは両手を耳元まで上げる。
袖が下へずれ、手首があらわになる。
右の手首には琥珀色の、左の手首には漆黒の小石を連ねた腕輪があった。
漆黒の小石を一粒だけ歯で咥えて取り外すと、そのまま噛み潰す。
それを見た途端、いずみが血相を変えた。