黒き藥師と久遠の花【完】
 バタン、と扉が閉まり、いずみの目から完全に見えなくなる。
 麻痺の毒に苦しむ男たちへ見向きもせず、ナウムがみなもに近づいてきた。

 その顔は憤りではなく、むしろ嬉々とした表情を浮かべていた。
 見た瞬間、みなもの全身が凍りついた。

「さて、みなも……オレの屋敷でこんな真似をして、ただで済むとは思っていないよな? これからお前の部屋で、じっくりお仕置きしてやるよ」

 ナウムがみなもの顎を持ち上げ、顔を近づけながら囁く。

 目を逸らしたいのに、色めき立った暗紅の瞳から目を離すことはできなかった。
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