黒き藥師と久遠の花【完】
「死ぬまでオレからは逃げられない。意地を張ってオレを受け入れまいとするほど、苦しくなるだけだぞ?」

 子供へ言い聞かせるような柔らかな声でそう言うと、みなもの耳元で囁いた。


「ずっと悩みに悩んで、辛かっただろうなあ。だが……もうお前は何も考えなくてもいいんだ。ただ、オレの言うことを聞いて、オレだけを感じていればいい」


 一言、一言、耳に入っていく度に、思考が麻痺していく。
 ナウムに屈したくないと憤る心が消えていく。
 このまま彼を受け入れたくないと、拒む気持ちも霧散する。

 彼に触られた所から、自分が死んでいく感覚。

 せめてレオニードのことを想う気持ちは無くしたくなかった。

 けれど、服を脱がされて体の至る所まで手で愛撫され、口づけられて。
 その想いすら闇へと沈み、無と化してしまった。
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