黒き藥師と久遠の花【完】
教えられた通りに進んでいくと、以前いずみとゆっくり話ができるよう通された部屋だった。
即座に全体を見回し、人の気配を探る。
いずみの姿だけでなく、毒で体の自由を奪われたであろう侍女や衛兵たちの姿も見当たらない。
あまりにも綺麗に整えられた部屋と、自分の呼吸する音が響いてしまう静けさ。
城に自分だけしかいないのでは、と錯覚しそうになる。
ここはあくまで王族の私的な応接間。
いずみはさらに奥へ進んだ所にある私室に隠れているらしい。
着実に姉との距離は縮まっているのだと思うと、はやる胸の鼓動が加速した。
息を整えるため、軽く助走しながら進んでいく。と、
「みなも、ここまで来たのはお前だけか?」
突然、真横からナウムの声が飛んでくる。
思わず体を硬直させ、みなもは息を呑む。
焦りを見せれば、自分が元に戻っていることを勘づかれてしまう。
瞬時に虚ろな表情を作り、ゆっくりと振り向いた。
中に人がいないかと注意を払っていたのに、腕を組んで柱にもたれかかるナウムの姿があった。
まるでこちらを待ち伏せしていたかのように。
自分と一緒にいたナウムの部下が動けなくなっているなら、残りも同じ状態になっているだろう。
一人きりだと居心地が悪かったが、この男と二人きりだと思うと、それだけで腹立たしくなってくる。
即座に全体を見回し、人の気配を探る。
いずみの姿だけでなく、毒で体の自由を奪われたであろう侍女や衛兵たちの姿も見当たらない。
あまりにも綺麗に整えられた部屋と、自分の呼吸する音が響いてしまう静けさ。
城に自分だけしかいないのでは、と錯覚しそうになる。
ここはあくまで王族の私的な応接間。
いずみはさらに奥へ進んだ所にある私室に隠れているらしい。
着実に姉との距離は縮まっているのだと思うと、はやる胸の鼓動が加速した。
息を整えるため、軽く助走しながら進んでいく。と、
「みなも、ここまで来たのはお前だけか?」
突然、真横からナウムの声が飛んでくる。
思わず体を硬直させ、みなもは息を呑む。
焦りを見せれば、自分が元に戻っていることを勘づかれてしまう。
瞬時に虚ろな表情を作り、ゆっくりと振り向いた。
中に人がいないかと注意を払っていたのに、腕を組んで柱にもたれかかるナウムの姿があった。
まるでこちらを待ち伏せしていたかのように。
自分と一緒にいたナウムの部下が動けなくなっているなら、残りも同じ状態になっているだろう。
一人きりだと居心地が悪かったが、この男と二人きりだと思うと、それだけで腹立たしくなってくる。